擬人化された動物たちの姿がコミカルで愛らしく、
今も多くの人を魅了する日本最古の漫画、鳥獣戯画（ちょうじゅうぎが）。
人気のうさぎやカエルが踊ったり、楽器をかき鳴らす姿が楽しいこちら皿は、
平安時代から田植えの時期に行われていた「田楽（でんがく）」の場面を描いています。
田楽は農耕儀礼として誕生しましたが、
その華麗さから次第に演芸としても重要視されたほど。
そんな華やかな場面を描いた皿が、長崎県波佐見焼の「バーバー／BARBAR」から届きました。

平らなお皿から、クッと立ちあがる縁をサビ絵具が引き締め、
白地に「銅板転写」でうさぎやカエルが生き生きと描かれています。

明治から大正にかけて波佐見焼の絵付けの主流であった「銅板転写」という技法。
まず銅板の表面を削り模様を描き、
削えい出した絵柄にに陶磁器用絵具を浸透させ、その絵具を和紙に写しとります。
それを素焼きした素地に貼りつけ、水をつけた筆などで叩くようにすることで
和紙に染み込んだ絵具の模様が器に転写されるという訳です。
同じ模様を写し取るとは言え、転写する際に微妙なずれが生じたり、
釉薬を掛ける際に線が滲んだりするのが特徴で、味わいでもあります。

サイズは「5寸」と「6寸」。
取り皿としてもぴったりな「5寸」は、
お饅頭や練り切りの和菓子を真ん中にころっと置いても素敵。
「6寸」は鮭や玉子焼きなどの朝食のおかずを盛り合わせたり、
生姜なきなどの一人分のおかずや、巻き寿司をきれいに並べたり。
箸を進めるたび、踊りと音楽に興じるうさぎにカエルたちが
賑やかに現れるのが楽しいです。

そもそも、豊作を願って田植えの時期に行われたのが田楽の始まり。
全体に漂う祝祭感にも、それで納得です。
縁起物として、お祝いの席に使えば、なんだか会話も弾みそうです。