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福光焼

「福光焼」。なんだかいいことがありそうな予感のする名前。
鳥取県倉吉市にある地域の名前を冠したこの名前は、
しかし、親子2人で営む窯の名前です。
民藝運動の中心人物・河井寛次郎氏の弟子であった
生田和孝氏のもと、丹波で修行を積んだ河本賢治さんは、
1980年の開窯以来、蹴ろくろ、登り窯という方法を守り作陶を続けてきました。
薪を使って焼き上げる登り窯も、回転が一定でない蹴ろくろも、
より効率的に均一なものをつくろうとするなら選ばない手段ですが、
人の力を超えた美しいものが生まれる喜びを知ってしまったつくり手には、
大きな魅力なのだそう。
登り窯の中で、薪の灰がかかってガラス質になり、
ところどころキラキラと輝く自然釉などは、その例の一つでしょう。

2016年の鳥取県中部地震の際には大きな被害を受けた同地域。
福光焼では、登り窯に詰めた器全てが割れてしまったのだそう。
再建には1年かかったそうですが、
今では一緒に作陶している息子さんと共に、
今後も時代に左右されないものづくりを続けてくださることでしょう。