手のひらに、ころり。
小振りで、窓辺やデスク、テーブルの上にさり気なく置けて、
それでいて存在感を放つフラワーベースは、
東京に工房を構える小川綾さんのもの。

ウェブデザインなど、デジタルの世界でキャリアを積んだ小川さん。
ふとしたことで通いはじめた陶芸教室から開けたものづくりの世界で、
今では国内外で活躍されています。

日々の生活でふと見つけた野に咲く花や
ドライフラワーを気軽に活けられる花器。
ときには花がなくても、空間に彩りを添えてくれる
４つのフラワーベースを届けてくださいました。

白百合の蕾をイメージしたという「白花（しらはな）」。
削ることで稜線模様を生み出す「鎬（しのぎ）」を施し、
キュッと閉じた蕾のような本体には、たっぷりと白釉ががかります。
しんと静寂な時間を連想させる、奥行きのある白色です。
縁は黒の顔料が取り囲み、アクセントに。
少し高さがあるので、ボリュームのある大輪の花や
小さなブーケなどにも向いています。

「何のかたちに見える?」という質問への、
子どもの答えをそのまま名前にしたという「えんぴつ型」。
こちらは時間の移ろいを感じさせるアンティークホワイト。
「白花」より太めの鎬の凹凸では、
茶色い素地が所々のぞいて、味わいを醸します。
口元が少し広めになっているので、
ミニブーケや、短めのドライフラワーを数種束ねて飾るのも素敵です。

一転、瑞々しさがほとばしるのが「しずく型」。
雨上がりの朝に、木の葉から落ちる雫をイメージしてつくられています。
小粒で流線形。雫の先っぽを、指先でつまみたくなります。
釉薬も雫をイメージして、しっとり水霧のようなグリーン。
涼やかな寒色系の花々や、ユーカリなどの葉だけを活けたり、
実のつく植物も似合います。

尊敬する女性である黒柳徹子さんの
髪型をモチーフにつくられたのが「トット型」。
手のひらサイズ、玉ねぎ型のコロンとしたデザインです。
春の歓び、桜の華やかさを感じさせるサクラ色の釉薬で、
空間にも明るさが加わります。
とりわけ小ぶりなので、小さくて可憐な草花でお楽しみください。

花を愛でるふとした時間、
その余白にほっとさせられることに気づかせてくれる
暮らしに馴染むフラワーベースです。