凛としていて、懐かしさも感じます。
瞳やアーモンドを連想するフォルムに
細かな菊の花弁が連なる「JICON　磁今」の「菊長鉢」。
和食器では珍しくないモチーフではありながら、
他にはない存在感と活躍の幅があります。

JICON　磁今は有田焼の老舗「陶悦窯」の
13代今村博さんの次男、今村肇（はじめ）さんが独立し、
手工業デザイナー大治将典さんを迎えて、2012年に立ち上げた磁器のブランド。

有田焼と聞いて思い浮かべる白磁と鮮やかな色絵とは一線を画す、
やわらかな色合いとさらりとした手触りが特徴的です。
さらに、白の釉薬をベースに、複数の色を重ね塗りすることで
ふくよかな印象の全４色を実現しています。

「白」は生成りを思わせる温かな色味。
鮮やかでそれでいて落ち着きも感じられる
「菜花黄（なばなき）」はエスニック料理に似合いそう。
「浅葱鼠（あさぎねず）」は白身魚や大根サラダの白や緑を引き立てるやさしいブルー。
少し赤みを帯びた茶系の「錆茶（さびちゃ）」は和食との相性がよさそう。
どれも明かりの具合で見え方の変わる趣深い色合いです。

サイズは各色３種類。
手元にちょうどいい「小」は取り皿にも、１人ずつの副菜皿にもぴったり。
アスパラがそのまま収まる「中」は、２人分の主菜をのせてもよさそうです。
「大」は大人数で囲む食卓にふさわしい大きさと佇まい。
色とりどりのフルーツを盛って飾れば、お祝いの席に華を添えてくれます。

食卓にのせたときに収まりがいい横長のかたち。
手元の取り皿としても、メインの大皿としても、
円形の多い器の隙間をうまく活用することができます。
片手で取りやすいのも、和食器ではめずらしいこのかたちならでは。
ポテンシャルは高めです。

手持ちのJICON　磁今の器との相性はいわずもがな、
漆器や洋食器と組み合わせて上級のコーディネートに挑戦しても。
料理と器、器と器、色とかたち、
さまざまな取り合わせを楽しむきっかけをくれる「菊長鉢」です。