愛知県瀬戸市で江戸時代から250年もの間焼きものをつくり続ける
「瀬戸本業窯（せとほんぎょうがま）」の「黄瀬戸（きせと）　平皿」。
淡い黄緑色のような、何色とも言いがたい不思議な魅力のある色です。

その秘密は、草木を燃やした灰からつくる「灰釉（かいゆう）」。
中でも黄瀬戸に使われる灰釉は赤松の灰を原料としており、
焼成の過程で、瀬戸の地元で採れる白い土にわずかに含まれる鉄分と結びつくことで、
やさしい黄色味を帯びます。
釉薬の濃淡や色ムラ、ところどころに入る黒点、
表面のヒビ「貫入（かんにゅう）」が自然な模様となり目を楽しませます。

使い込むごとにその自然の模様が育っていく様子を堪能できるのも、
堅牢な器づくりを旨とする瀬戸本業窯の丈夫な器ならでは。
手間を惜しまず、人の手によるものづくりを大切にし、
陶土は瀬戸のもののみ、釉薬もなるべく地元の自然の素材から手づくり。
ろくろでの成型、釉（くすり）がけなど、すべての工程を職人たちの手作業で行っています。

平らな見込みが特徴的なかたちは、どんな食卓にも馴染む佇まい。
サイズは「５寸」と「6.5寸」の２種類です。
立ち上がった縁が深さをつくる分、汁気のある煮魚からカットケーキまで、守備範囲は広めです。
おもてなしのごちそうは美味しそうに引き立て、肩の力の抜けた普段の料理を盛れば親しみやすく、
何を盛りつけても様になります。

シンプルだからこそ毎日使っても飽きることがない上に、
器が変化していく様を楽しめる「黄瀬戸　平皿」。
あらゆる器を楽しんできた通が最後にたどり着く器、
と表現されるのも納得の、しみじみとしたよさがあります。