マグカップのような持ち手はなく、かといって一般的な湯呑みによく見られる高台もない。
手に触れる部分がゆるやかな曲線を描く、湯呑みとマグカップの中間といったシルエットの
「小石原ポタリー」の「カップ」。

福岡県中央部の東端に位置する東峰村。
自然豊かなその地で、江戸時代からつくられている「小石原焼（こいしわらやき）」の複数の窯元と、
雑誌や書籍などで活躍するフードコーディネーターの長尾智子さんが
コラボレートして生まれたブランドが「小石原ポタリー」。
伝統の意匠とモダンな要素を絶妙なバランスで組み合わせ、
「料理が美味しくなる器」をつくっています。

ろくろを回しながら、化粧土の部分を刃先で削り取り模様をつける、
小石原焼を代表する技法である「飛び鉋（かんな）」。


「02」は、白い化粧土に青い呉須の顔料をかけて表現した複雑な色味に、
下半分にのみ施されたこげ茶色の飛び鉋模様が映えます。


白い化粧土をかけ、全体に飛び鉋が施された「03」は、
素地の赤茶色と白のコントラストが落ち着いた印象。
手に触れる凹凸を最も感じられる模様です。


飛び鉋の上に灰色みを帯びた白い化粧土をかけた、ブロカントのような雰囲気の「04」には、
お茶やコーヒーだけでなく、赤ワインも似合います。


「10」は縁周りに「刷毛目（はけめ）」が施されています。
化粧土をかけてすぐ、ろくろ上で回転する器にトットッと刷毛を当てていくことで
白い化粧土の下の黒い素地が縞となって浮かび上がります。

渋い緑茶から冷たいアイスクリームまで似合ってしまう
おおらかさが魅力の小石原ポタリーのカップ。
朝のコーヒー、昼のお茶、夜のデザートと、食器棚にしまう暇がないほど活躍しそうです。