2020年8月公開
6月から9月にかけて旬を迎える夏野菜の一つ、なす。
低温に弱く、冷蔵庫に入れると種が黒くなったり皺が寄ったりしてしまうので、
新鮮なうちに保存食に仕立ててしまうのをおすすめします。
なすは油と一緒に加熱すると、とろりとジューシーに。
そこで、料理研究家・稲垣晴代さんに、
スパイスとお酢を活用した夏にぴったりの
「なすのスパイシーマリネ」を教わりました。
加熱することで酸味は甘くやわらかくなり、スパイスもほどよくマイルドに。
子どもでも食べられる、ごはんにもパンにもパスタにも合う、
甘酸っぱいマリネに仕上がります。
アレンジレシピは、
旬の桃とフレッシュにいただく「なすと桃の冷製カッペリーニ」と、
マリネを調味料のように利かせる「なすと牛肉のメンチカツ」をご紹介します。
味や油が染み込みやすい、なす
なすは、果肉がスポンジ状でやわらかく、
全体の9割以上が水分です。
加熱すると油が染み込みやすい性質があるので、
あっさりいただきたいときは漬物や
シンプルに焼いたり蒸したりし、
ボリュームを出したいときは油を使った調理法を。
またなすの皮には、強い抗酸化作用のある
ナスニンという成分が豊富に含まれているため、
皮ごと調理するのがおすすめです。
教えていただいたのは…
料理研究家 稲垣晴代さん
調理師学校卒業後、飲食店勤務、カフェ料理長を経て、2005年フードケータリングユニット「MOMOE」を結成。自然栽培や有機栽培の野菜を素材に、化学調味料を使わない、色・味・香り豊かな料理が人気を集めています。著書は、「サラダみたいに作る、楽しむピクルス&マリネ」(グラフィック社)、「MOMOEの作りおき―1つの食材で作る小さいおかず―」(宝島社)など。オフィシャルサイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量約1kg)
- なす…8~10本(750g)
- 塩…大さじ1
- にんにく(みじん切り)
…大さじ2(30g) - 生姜(みじん切り)
…大さじ2(30g) - 菜種サラダ油…200ml
- カレー粉…大さじ5
- チリパウダー…小さじ2
- 酢…200cc
- きび砂糖…大さじ5
- マスタードシード(イエロー)
…大さじ2
1.なすはヘタを取って一口大の乱切りにします。
2.1に塩を振って揉み、20分ほど置きます。
【ポイント】
なすを脱水することで、油や味が入りやすくなります。下味もつくため、この後調味としての塩は入れません。
3.フライパンに油とにんにく・生姜を入れ弱火にかけ、香りが立ってきたらカレー粉とチリパウダーを入れ1分炒めます。
4.2の水気を絞って3に加え、油を吸わせるように中火で炒めます。
5.なすに火が通りやわらかくなったら、酢と砂糖、マスタードシードを加え、ときどき返しながら中火で3分ほど煮ます。
6.なすがとろっとしてきたら火を止め、粗熱が取れたら保存容器に。なすが油に浸った状態で、冷蔵で2週間保存が可能です。
稲垣さんが選んだ器は…
木瓜長鉢 青白 5寸(瑞々)
花のようなかたちの横長の鉢。「シンプルな料理でも映える、変わったかたちの器に惹かれます。深さがあるので汁気のあるマリネが盛りつけやすく、青白がナスの黒色と合うのではと選びました。オイルが器にそって花のかたちに見えるのもかわいらしいですね」
夏が旬の桃をごろんと大き目にカットして、
「なすのスパイシーマリネ」と合わせて極細パスタ・カッペリーニに絡めます。
桃のやさしい甘さと香り、マリネのとろりとジューシーな味わいが瑞々しく、
食欲が落ちがちな暑い季節にうれしい一品です。
カッペリーニはそうめんでも代用可。
材料(1人分)
- 「なすのスパイシーマリネ」
…大さじ4 - 桃…1個(220g)
- 塩…小さじ1/3
- オリーブオイル…大さじ2
- カッペリーニ…70g
- バジル…4~5枚
つくり方
1. カッペリーニを表示通り茹で、冷水で冷やしで水気をよく切ります。
2. ボウルに一口大に切った桃とオリーブオイル、「ナスのスパイシーマリネ」をオイルごと入れ、よく混ぜて塩で味を調えます。
3. 器に盛り、バジルを添えます。
稲垣さんが選んだ器は…
サビ十草 大皿(バーバー/BARBAR)
江戸時代から愛されてきた十草(とくさ)模様を、サビ絵具を使って手書きで施された皿。「土っぽい器も好きで、中でもこれは縁の模様がなすに合いそうだと思いました。和の器ですが、洋風にも似合いますね。『大皿』のサイズがパスタにぴったりです」
「なすのスパイシーマリネ」を牛挽き肉に混ぜ込んでメンチカツに。
その他調味料は使いませんが、甘酸っぱいマリネによって肉のくさみが消えるうえ、
まるでソースを染み込ませたような味わいに仕上がります。
冷めても美味しいので、お弁当のおかずにもどうぞ。
材料(8個分)
- 「なすのスパイシーマリネ」
…大さじ3 - 牛挽き肉…500g
- 玉ねぎ(みじん切り)…1/2個分(90g)
- 卵…1個
- 小麦粉…大さじ3
- 卵…1個
- 水…大さじ2
- パン粉…適量
(衣)
つくり方
1. 「なすのスパイシーマリネ」を粗く刻み、ボウルに牛挽き肉、玉ねぎ、卵と一緒に入れ、よく混ぜます。8当分し、かたちを丸く整えバットに並べ、冷蔵庫で20分休ませます。
2. ボウルに、衣の材料のうち、卵、水、小麦粉を入れよく混ぜます。
3. 1に小麦粉(分量外)をまぶし、2にくぐらせ、パン粉をまんべんなくまぶします。
4. フライパンか揚げ鍋に揚げ油を入れ、170度に熱します。3を入れ4分揚げ、ひっくり返してさらに2~3分揚げます。真ん中が膨らんで来たら中まで火が通っている目安です。
5. 千切りキャベツ(分量外、適量)を皿にしき、4を盛りつけます。
稲垣さんが選んだ器は…
NAMASU チューリップ文輪花(amabro)
江戸時代に広まった、ほどよい大きさと深さのある多様器「なます皿」を現代のデザインで蘇らせた器。「メンチカツが茶色なので、色味のある器がいいのではと思いました。チューリップ柄がかわいらしいです。あまり赤絵の器を使ったことがなかったのですが、メンチカツが華やぎました」