2020年3月公開
野菜を塩水で漬けて乳酸発酵させる「水キムチ」は、韓国の漬物の一つ。
塩漬けした野菜に辛味調味料を塗り込んで漬けるキムチよりも
手軽につくれ、あっさりサラダ感覚で食べられます。
野菜の表面についた乳酸菌を活用するため、
白菜やキャベツなど表面積の大きい葉物向きです。
これからの季節出回る春キャベツは、
巻きがゆるくより乳酸菌がつきやすいため、水キムチにうってつけ。
水キムチにすることで日持ちし、カサも減って食べやすくなります。
今回は、「キャベツの水キムチ」を
料理研究家・小田真規子さんに教わりました。
より手軽につくれるよう、
乳酸菌の働きを促す糖としてりんごジュースを使用。
また、本来水キムチには唐辛子を入れないことが多いのですが、
小田さんのおすすめは、
香りがよく辛さがマイルドな韓国産の唐辛子を少々利かせること。
味のアクセントにもなり発酵も安定します。
辛さはお好みで調整してください。
アレンジレシピは、
水キムチならではの瑞々しい美味しさが活きる「水キムチのそうめん」と、
豚バラ肉と炒めるボリュームのあるおかず「豚バラ水キムチ」です。
胃腸を守り働きをよくするキャベツ
胃腸の粘膜を保護するビタミンUや
消化を促進させるジアスターゼが豊富なうえ、
淡色野菜の中ではビタミンCの含有量も多く、
「食べる薬」と呼ばれている葉もの野菜です。
春、夏(高原キャベツ)、冬と
品種によって出回る時期が異なり、
春キャベツは巻きがゆるめで葉がやわらかく
生食に向いています。
教えていただいたのは…
料理研究家 小田真規子さん
女子栄養大学短期大学部卒業後、料理家のアシスタントを経て、1998年に独立。料理の基本から栄養や健康、お弁当やスイーツ、食文化まで、幅広く「家庭の料理」を提案。料理・生活雑誌にオリジナルレシピを発表する他、料理番組への出演、レシピ本の出版、企業への料理提案やアドバイス、レシピや商品の開発などに携わっています。「親に元気を届ける 作りおきごはん」(永岡書店)、「自炊のトリセツ おいしいごはんの法則」(池田書店)、「作りやすい、今どき保存食」(オレンジページ )など、手がけた料理本は100冊以上。公式サイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量約900g)
- キャベツ…1/2玉(500~600g)
- にんじん…1/3本(50g)
- 大根…1/8本(100g)
- 塩…大さじ1
- 水…1カップ
- 水…1/2カップ
- りんごジュース…1/2カップ
- 塩…小さじ2
- 生姜(すりおろし)
…1片分(10g) - にんにく(すりおろし)
…1片分(10g) - 韓国産唐辛子(中挽き)
…大さじ1/2 - 韓国産唐辛子(細挽き)
…大さじ1/2 - 酢…小さじ2
(A)
※より甘さを出したいときは、りんごジュースの代わりにはちみつ(大さじ1~2)を使っても。その場合、水を1カップにします。
※唐辛子は、粗度違いのものがなければどちらか1種類で大丈夫です。どちらもなければ、一味唐辛子を小さじ1に。
1.キャベツは4cm角に切ります。少し大きめの方が食感が楽しめます。
2.にんじんはよく洗い、皮ごと縦に薄切りにしてから千切りにします。大根もよく洗い、皮ごと輪切りにしてから千切りにします。
【ポイント】
にんじんや大根を入れるのは、にんじんや大根からの水分を利用してキャベツに塩分を馴染ませるため。また、皮の表面には乳酸菌がついているので、皮ごと使います。
3.1と2をビニール袋に入れ、塩と水を加えます。袋をゆすったり上から揉むようにして全体に馴染ませたら、常温で1時間ほど置いてしんなりさせます。
【ポイント】
塩だけだとしょっぱくなり過ぎたり、キャベツから水分が抜け過ぎて食感が残りづらくなります。瑞々しく仕上げるために、水を一緒に加えます。
4.ボウルに(A)を入れてよく混ぜ、3の水気を軽くしぼりながら加えます。
5.4を手を使いよく混ぜます。
6.保存容器に入れ、冷蔵庫で3時間以上置いて味を馴染ませたら完成です。冷蔵で2週間保存が可能です。
小田さんが選んだ器は…
八角輪花皿 中深皿(JICON・磁今)
8枚の花弁で縁取られた、ほどよく深さのあるお皿。「『キャベツの水キムチ』に緑やオレンジなどいろいろな色があるので、お皿は白を選びました。韓国の器は磁器が多く、花のモチーフもイメージさせるので似合うかなと思います。つるっとしていて涼やかな器だから、合わせるテーブルクロスも、パステルから濃い色まで、どんなものでも合わせやすいのではないでしょうか」
水キムチは、漬け込む間に水分とうま味が引き出され、
漬け汁まで余すところなく活用できます。
「キャベツの水キムチ」と鶏肉、茹で卵をのせたそうめんに、
漬け汁をたっぷりかけて爽やかな冷やし麺に。
さっぱりしつつ、乳酸発酵によるマイルドな酸味とほんのりした甘みが感じられ、
奥行きのある味わいです。
材料(2人分)
-
(A)
- 「水キムチ」…汁ごと250g
- そうめん…150g
- 市販のサラダチキン…50g
- 茹で卵…1個
- ごま油…小さじ1~2
- しょうゆ…適量
つくり方
1. そうめんは袋の表記通りに茹でて冷水に取り、水気を切ります。
2. サラダチキンはほぐし、茹で卵は半分に切ります。
3. 器にそうめんを盛り、「水キムチ」と2をのせます。お好みでごま油やしょうゆをかけても。
小田さんが選んだ器は…
with4 24plate(イイホシユミコ)
青みがかった灰色でマットな質感が特徴的なプレート。「リムがほどよく立ち上がっていて適度に汁が張れるので、汁気のある麺料理にもいいですね。青色にそうめんの白とリムの白のコントラストがきれいです。涼やかな雰囲気と薄さが、そうめんの細さにも合っていると思います」
豚肉と相性のいいキムチですが、
サラダ感覚の「キャベツの水キムチ」と炒めると、
生のキャベツを使った野菜炒めのフレッシュさも感じられる一品に。
水キムチ自体ににんにくや生姜、唐辛子が利き、発酵によるうま味もあるので、
シンプルな調味だけで十分。
豚バラ肉さえ用意すればあとは炒めるだけと手軽な上に、
ボリュームもあり、肉と野菜をバランスよく食べられる主菜です。
材料(2人分)
- 「水キムチ」
…汁を切って200~250g - 豚バラ肉…250g
- 塩…小さじ1/2
- 砂糖…小さじ1/2
- 粗びき黒胡椒…小さじ1/4
(A)
つくり方
1. 豚バラ肉は、6~7cmの長さに切り、(A)を絡めます。すぐに焼いてもいいですが、時間があれば30分程度置きます。
【ポイント】
豚バラ肉は、焼く前に塩を絡めておくと、下味だけでなく肉のタンパク質と脂質が変化して、特有の脂っぽさがなくあっさり仕上がります。また、塩だけでなく保湿効果のある砂糖を加えることで、肉がやわらかくなります。
2. フライパンを中火で1分ほどあたため、1を広げます。2~3分ほど焼き、焼き色がついたら出てきた脂をキッチンペーパーなどで軽くぬぐいます。上下を返し、さらに1~2分炒めます。
【ポイント】
油は使わず、豚肉の脂で焼きます。頻繁にひっくり返さず、片面をしっかり焼き切るようにすると香ばしく仕上がります。
3. 水気を切った「水キムチ」を加え、全体があたたまるまで炒めます。
小田さんが選んだ器は…
バイカラープレート M オリベ×シノ
(ミシンポタリークリエーション)
内側と縁の2色の釉薬の組み合わせを楽しむというコンセプトでつくられたプレート。「織部のグリーンが好きなんですが、これは現代的でかたい感じではないから普段の食卓で使いやすそうですね。リムはあるけれど、細めで主張が少ないのも盛りつけのバランスが取りやすいと思います」