【如月】高橋佳奈さんに教わる「乾姜」 | 保存食暦 | cotogoto コトゴト
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季節の恵みを大切にいただく、保存食暦

2020年2月公開


万病の元と言われるくらい、さまざまな体調不良につながる冷え。
手先や足先があたたかくても内臓が冷えていたり、
どんなに厚着をしても寒気がすることも。
体をあたため冷えを改善しようと、
生姜を料理に活用する人も多いのではないでしょうか。
一度に使うのは少量なので、ついついダメにしがちですが、
薄切りにして干せば、日持ちして使いたいときに使えて便利です。
さらに漢方や薬膳では、生姜を加熱することで
体を芯からあたためる作用が強くなると言われています。
そこで、国際中医薬膳師である高橋佳奈さんに、
生姜を蒸してから乾燥させる「乾姜(かんきょう)」を教わりました。

乾姜は、漢方薬としても使われるものですが、料理などにも大活躍。
アレンジレシピは、
熱湯を注ぐだけでできる体をじんわりあたためる「乾姜のあたため茶」と、
寒い日の夜などに胃腸を労わる「乾姜と手羽元のスープ」をご紹介します。

アレンジレシピのつくり方を見る


 

旬の食材のこと

旬の食材「生姜」
加熱・乾燥により効能が変わる生姜

生姜は昔から食材としてだけでなく、
薬としても使われるほど薬効の高い食材です。
乾燥や加熱することにより効能が変わるため、
薬膳では、生のものを「生姜(しょうが)」、
乾燥させたものを「生姜(しょうきょう)」、
蒸してから乾燥させたものを「乾姜(かんきょう)」
と呼び、使い分けています。
どれも体をあたためる作用がありますが、
「しょうが」、「しょうきょう」、「乾姜」の順に
より体の深い部分をあたためるとされ、
「乾姜」は胃腸の冷えなどに効果的と言われています。

高橋佳奈さん
教えていただいたのは…

カフェとギャラリー「タビラコ」店主 高橋佳奈さん

絵の専門学校を卒業後、出版社勤務を経て、24歳で調理師学校に入学。その後カフェで調理を2年経験し、ワインの小売り店に勤務。食材やワインを勉強する傍ら、青山のギャラリー「DEE’S HALL」でも働き、2010年に東京・世田谷線沿線の松陰神社前にてカフェとギャラリー「タビラコ」をオープン。もともとアトピーや喘息に悩まされていたことから薬膳に興味を持ち、国際中医薬膳師の資格を取得。カフェでは、季節に合わせ、薬膳を取り入れたメニューも提供しています。お店の情報は、こちらから。



 

「乾姜」のつくり方

用意するもの

用意するもの
材料(つくりやすい分量/
完成量約8.4g)
  • 生姜…100g

つくり方

1cmの厚さにスライス

1.生姜は皮つきのまま、1cmの厚さにスライスします。

【ポイント】
最終的には1mmの薄さにスライスしますが、鍋が小さくても蒸しやすいよう最初は厚めにしておきます。大きめの鍋や蒸し器がある場合は、最初から1mmの薄さのスライスにして蒸しても大丈夫です。

30分蒸す

2.蒸し器に重ならないように並べ、竹串がすっと通るくらいまで30分~1時間ほど蒸します。
※1で薄さを1mmにした場合、30分蒸したら工程4へ進んでください。

1mmにスライス

3.蒸した生姜を1mmの薄さにスライスします。

【ポイント】
生姜は繊維がかたいので、波刃の包丁の方が繊維が切りやすくおすすめです。最後の方は、生姜を寝かせて削ぐようにするとスライスしやすくなります。

干す

4.ざるに重ならないように広げ、天日干しにします。外で干すのが難しい場合は、日の当たる室内の窓辺に干します。

干して2目

5.2日ほど干すと表面が乾いてきます。

ら出来上がり

6.5日~1週間干し続け、ぎゅっと縮まりカラカラになったら完成です。干す時間は、生姜の水分量や気候にもよるので、ときどき触って確認してください。
シリカゲルなどを入れた瓶などに入れ、常温で1年ほど保存が可能です。

高橋さんが選んだ器は…

小皿 オクトゴナル 糠青磁釉
(寺村光輔)

角張ったかたちと神秘的な色合いの「糠青磁釉(ぬかせいじゆう)」が特徴的な小皿。「生姜に合う色に惹かれました。のせたものが美味しそうに見える色だと思います。かたちも素敵。リムの内側が楕円形なのも使いやすいと思います」

 




乾姜のあたため茶

乾姜に熱湯を注いで成分を抽出させると、体を芯からあたためるお茶に。
蒸してから干した乾姜は、生姜特有の香りがまろやかなので、
他のものと組み合わせて楽しめます。
今回は、体をあたため労わるという観点から高橋さんに選んでいただいた、
棗(なつめ)とクコの実、ローズヒップとマイカイカ(ハマナス)を合わせています。
乾姜だけでもあたため効果はあるため、あとはお好みで。
お湯を注いで時間が経つほど成分が抽出されるので、
ゆっくりお楽しみください。
砂糖を加えると味が締まって、より美味しくいただけます。

材料(400ml分)
    (A)
  • 乾姜…2~3枚(1g)
  • クコの実…15粒(2g)
  • 棗…1/2個(3.6g)

  • (B)※お好みで
  • ローズヒップ…3g
  • マイカイカ…3蕾(1g)

  • 熱湯…400ml
  • お好みの砂糖…適量
つくり方

1. ポットに(A)と(B)を入れ、お湯を注ぎます。薄めの茶色に色づいてきたら飲み頃。お好みで砂糖を加えると、味が引き締まります。
【ポイント】
早く飲みたいときは、鍋に水と(A)を入れ火にかけ、あたたまったところに(B)を入れます。



高橋さんが選んだ器は…

碗 白 貫入(南景製陶園)、
KITO 小皿 松 小
(四十沢木材工芸)

釉薬に入ったヒビ・貫入(かんにゅう)が模様になった小ぶりの茶碗と、松のかたちをモチーフにした桜の木目が楽しめる小皿。「時間を置くとより乾姜から成分が抽出されるので、ポットでつくり、お茶碗を小さめにしてゆっくり飲むのがおすすめです。『碗』は、縁が少し反っていて口にすっと入ってくるかたちですね。『KITO 小皿』は、『碗』と合わせると余白ができて、他にお皿を用意しなくてもお菓子などを添えられていいと思います」

乾姜と手羽元のスープ

乾姜と手羽元を水から火にかけ、しっかり成分とうま味を煮出したスープです。
ごはんも一緒に煮込んでサムゲタン風に。
今回は玄米を使いましたが、白米だとよりトロトロに仕上がります。
春雨などもおすすめです。
具は、そのとき家にあるものをお好みでどうぞ。
調味料はシンプルに塩と胡椒のみ。
やさしい味わいで、遅めの夜ごはんなどにもぴったりです。

材料(1人分)
  • 乾姜…3~4枚(1~1.5g)
  • 手羽元…2本(120g)
  • レモン汁…1/8個分程度
  • 塩…一つまみ(1g)
  • 水…600ml
  • 玄米(炊いたもの)…180g
  • 塩、胡椒…適量

  • (具)※お好きなものを
  • ちぢみほうれん草
    …適量(今回は1枚)
  • れんこん
    …適量(今回は1切れ)
  • 山芋
    …適量(今回は1切れ)
  • きくらげ(水で戻したもの)
    …適量(今回は2枚)
つくり方

1. 手羽元はくさみを取るため、塩少々とレモン汁をもみ込み、3時間~半日ほど置きます。朝ごはん用なら前の晩、夜ごはん用なら朝にやっておくのがおすすめです。その後、水洗いしてキッチンペーパーなどで水気を拭きます。
2. 鍋に乾姜、水、1を入れ火にかけ、弱火で30分ほど煮込みます。お好みの塩加減になるよう塩を入れます。
3. 手羽元に火が入ったら、れんこんと玄米ごはんを入れます。一旦乾姜を取り出し、千切りにして戻します。
4. れんこんに火が入ったら、ちぢみほうれん草と山芋、きくらげを入れてさっと煮ます。



高橋さんが選んだ器は…

SEN 皿 7寸 No.1(カマニー/Kamany)

薄茶の地に焦げ茶の線を手描きで染つけした、おおらかな線模様が特徴的なやちむんの皿。「スープの色味が白と緑でシンプルだったので、動きのある柄が入っているものがいいかなと。意外と深さもあるので、玄米ごはんが入ってかさのあるスープも収まりました。厚みもあってあたたかい印象です」












 
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