2019年1月公開
柚子胡椒といえば、青柚子と青唐辛子でつくる緑色のものが一般的ですが、
冬に熟して色づいた黄柚子と赤唐辛子でもつくることができます。
食が健やかな体と心を育むとする薬膳では、
黄柚子のふくよかな香りは、気の巡りをよくし、
その皮は血行を促し体をあたためるとされています。
鍋をはじめ、冬の食卓のアクセントとして活用したい「黄柚子胡椒」を
薬膳料理家・山田奈美さんに教わりました。
じんわり体があたたまるやさしい味の「白菜と柚子胡椒の鶏団子スープ」と、
いろいろな根菜の食感が楽しい「根菜の柚子胡椒マリネ」もご紹介します。
寒い時期の体調管理にうれしい柚子
初夏に花を咲かせ、夏に未熟な青柚子、
11月下旬頃から冬にかけて熟した黄柚子が出回ります。
風邪予防や疲労回復に効果のあるビタミンC含有量は、
柑橘類の中でもトップクラス。
とくに皮の方が果汁よりも多く含まれています。
また皮には血流を改善する成分もあり、
体をあたためる効果があります。
教えていただいたのは…
薬膳料理家 山田奈美さん
薬膳料理家。食養研究家。国際中医薬膳師。十数年前より「東京薬膳研究所」主宰・食養研究家の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養法について学び、現在は、「和の薬膳」や「発酵教室」「離乳食教室」など、昔ながらの日本の食文化を継承する活動に取り組んでいます。北京中医薬大学日本校卒。「体を温め、めぐりをよくする妊娠中のごはん」(家の光協会)、「つよい体をつくる離乳食と子どもごはん」(主婦と生活社)、「はじめる、続ける。ぬか漬けの基本」(グラフィック社)など、著書多数。オフィシャルサイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量約65g)
- 黄柚子の皮…5個分(約50g)
- 赤唐辛子(乾燥)…5g
- 塩…10g(柚子皮の20%)
- 柚子の絞り汁…小さじ1
※皮を使った柚子の果汁は、「ゆずポン酢」におすすめです。
1.柚子はよく洗って水気を拭き取り、皮を薄く向きます。
【ポイント】
皮の下にある白いわたの部分は苦みがあるので、入れないようにそいでいきます。
2.1を細かいみじん切りにします。なるべく細かくすることで、次のすりつぶす工程がやりやすくなります。
3.赤唐辛子はへたを取って、水につけてしばらく戻します。水気を拭き取って種を取り、細かいみじん切りにします。
【ポイント】
辛いのが好きな人は、お好みで唐辛子の量を増やしてください。
4.2と3、塩、柚子の絞り汁を合わせて、すり鉢またはフードプロセッサーで滑らかにします。煮沸消毒した保存容器に入れ、空気に触れないよう表面をラップで覆ってから蓋をします。すぐに食べられますが、冷蔵で1週間ほど寝かせると塩気がマイルドに。冷蔵で半年保存可能。
【ポイント】
柚子の絞り汁を入れるほうが滑らかになりやすいのですが、入れなければ1年以上保存が利きます。
山田さんが選んだ器は…
くるみの豆皿 木瓜(工房えらむ)
くるみの木を刳りぬいてつくられた和モチーフの豆皿。「豆皿好きでつい手に取ってしまいますが、木のものは珍しいです。削り跡を残しているところも、手しごとのぬくもりが感じられて好きです。和菓子に漬物、ナッツなど、和洋中問わずなんでもちょこんとのせられそうです」。
生姜を利かせた鶏団子の旨味と
白菜や大根の甘味が染み込んだスープの香りづけに「黄柚子胡椒」を。
澄んだスープが体をじんわりあたためてくれます。
爽やかな柚子の香りと、ぴりりとアクセントになる赤唐辛子の辛さで
何杯でもおかわりしてしまいそうなスープです。
材料(2人分)
- 鶏もも挽き肉…100g
- 生姜…10g
- 白菜…3枚(170g)
- 大根…70g
- 長ネギ(みじん切り)…10g
- 生姜(みじん切り)…3g
- 酒…小さじ1
- 塩…少々
- しょうゆ…小さじ1/2
- 片栗粉…小さじ2
- 水…400ml
- 酒…大さじ1
- ごま油…大さじ1
- 塩…小さじ1/3
- しょうゆ…小さじ2
- 酢…大さじ1/2
- 「黄柚子胡椒」…小さじ1/3
(A)
つくり方
1. 白菜は4cmの長さに切り、さらに縦細切りにして葉と軸に分けます。大根は千切り、生姜はみじん切りにします。
2. 鶏挽き肉に(A)の材料を加えてよく混ぜ、粘りが出るまでよく練ります。
3. 鍋にごま油を入れて中火にかけ、生姜を炒めます。香りがしてきたら、白菜の軸と大根を加えて炒めます。
4. 大根がしんなりしたら水と酒を加え、煮立ったら2をスプーンで一口大に丸めて落とし入れます。
5. 鶏団子の色が変わり、アクを取ったら、白菜の葉を加えて3分ほど煮ます。塩、しょうゆ、酢、「黄柚子胡椒」を加えて味を調え、器に盛ります。
山田さんが選んだ器は…
NAMASU チューリップ文輪花(amabro)
古くから日本の食卓で愛されてきた「なます皿」を現代の感覚で蘇らせた深皿。「派手に見えるけれど、盛りつけてみると料理としっとり馴染んで、思った以上に使いやすいですね。とくに澄んだスープを注いだときに絵柄が透けて見えるのがとってもきれい。食卓をぱっと華やかにしてくれるお皿は、あると重宝します。スープ皿には小さいかなと思ったけれど、しっかり1人分が入る十分な容量です」。
グリルした根菜を「黄柚子胡椒」を利かせたマリネに。
柚子の香りと隠し味のナンプラーが酢の酸味をやわらげ、マイルドな味わい。
ごぼう、れんこん、にんじん、かぶ、それぞれの食感の違いも楽しく、
コロコロとした根菜たちは食べ応えも十分です。
材料(2人分)
- ごぼう…1/2本(100g)
- れんこん…1/2節(100g)
- にんじん…1本(100g)
- かぶ…1/2個(50g)
- 塩…少々
- 酢…大さじ2
- しょうゆ…大さじ2
- みりん…小さじ2
- ごま油…小さじ2
- ナンプラー…小さじ1/3
- 「黄柚子胡椒」…小さじ1
(A)
つくり方
1. ごぼうは束子でこすって泥を洗い落とし、乱切りにします。れんこん、にんじんも洗って皮ごと乱切りにします。かぶは皮ごと6等分の半月切りにします。
2. 鉄板やフライパンにごま油(分量外)をひいて1を並べ、塩を軽く振り、途中で裏返しながら両面に焼き色がつくまでじっくりグリルします。
3. 2に火が通ったら、(A)をよく混ぜ合わせたマリネ液に20分以上漬け込みます。
山田さんが選んだ器は…
鉄くろ釉 木瓜浅鉢(ツドイ/tsudoi)
平らな底面とメタリックな輝きが特徴的な浅鉢。「光沢を抑えた質感が落ち着いた印象で、器が主張しすぎることなく、どんな料理も引き立ててくれそうです。大きめなサイズだけれど、木瓜のかたちだからか、盛ってみるとそれほど大きく感じませんでした。むしろ木瓜のかたちを生かして、余白を楽しむ盛りつけができました。どんな器と合わせても馴染んでしまう万能選手ですね」。