2018年5月公開
夏野菜の代名詞とも言えるトマト。
でも実は、出荷量は5月が一番。
さらに、もともと南米の高地発祥の野菜であるトマトは、
日本の場合、高温多湿な夏より、からりとした初夏の方が甘くなると言われています。
煌めく初夏の日差しを浴びた瑞々しいトマトを、保存食にしてたっぷり堪能しましょう。
料理研究家・脇雅世さんに、イタリアのマンマがつくるような
クラシカルな「トマトソース」を教わりました。
トマトの他にタマネギ、ニンジン、セロリも入ったこってり濃厚なソースは、
パスタにかけたりバゲットにのせて食べる「ブルスケッタ」にしたりと、
そのままでも大活躍。
少し手を加えると、さらに楽しみ方が広がります。
アレンジ料理として、「ミートボールのトマト煮」と
「バスク風オムレツ」もご紹介します。
肌や体を若々しく保つ緑黄色野菜、トマト
トマトは、粘膜や皮膚を健康に保つ働きのあるβカロテンが豊富な緑黄色野菜のひとつです。
トマトの赤色の素であるリコピンは、抗酸化作用が高く、体の老化やそれに伴う病気を予防する働きが。
加熱することで体に吸収しやすくなるため、
「トマトソース」は打って付け。
まろやかで美味しい「トマトソース」をつくるために、
よく熟して赤々としたものを選びましょう。
教えていただいたのは…
料理研究家 脇雅世さん
フランス料理習得のため、10年近くパリに滞在し、コルドン・ブルー・パリ校、トゥール・ダルジャン、マキシム・ド・パリ他で研修。服部栄養専門学校国際部ディレクター、24時間耐久レース「ル・マン」のマツダ・レーシング・チームの料理長など、幅広い舞台で活躍。現在は、株式会社トワ・スールを設立し、料理に関する書籍・映像の企画・制作、料理・菓子講習会の開催、レストランのメニューや食品開発のコンサルの他、培った料理の技術や経験を生かし、料理道具の開発にも力を注いでいます。「オレンジページおかず教室1野菜がしっかり食べられるおかずの作り方」(オレンジページ)、「料理をおいしくする切り方のひみつ」(NHK出版)など、フランス料理から和食、保存食、お菓子まで著書多数。オフィシャルFacebookはこちらから。
材料(つくりやすい分量/
完成量約700g)
- トマト…7~9個(1㎏)
- タマネギ…1/2個(100g)
- ニンジン…1/3本(50g)
- セロリ…1/2本(50g)
- オリーブオイル…大さじ4
- ローリエ…1枚
- ニンニク…1~2片
- 塩…小さじ1
1.トマトはヘタを取り除き、沸かした湯に入れ、途中上下を返して約30秒茹でます。冷水に取り、皮を剥きます。
【ポイント】
火を通す時間はトマトの熟し具合によって異なりますが、皮がめくれてきたら取り出します。やわらかくなり過ぎると切りづらくなるので、気を付けましょう。
2.湯剥きしたトマトは、1~1.5cmの角切りにします。
3.タマネギ、ニンジン、セロリは細かくみじん切りにします。
4.鍋にオリーブオイルと3の野菜、塩を入れて中火にかけます。ヘラで混ぜながら、しんなりするまで炒めます。
5.2のトマト、芽を取ったニンニク、ローリエを加えます。
6.時々混ぜながら45分~1時間、5の分量の半分くらいになるまで弱めの中火で煮ます。ニンニクは、やわらかくなったらヘラで潰して混ぜます。
【ポイント】
ニンニクはみじん切りにしないで煮込み、潰して混ぜることで、ソースとの一体感が増してまろやかになります。
6.粗熱が取れたら、きれいに洗って水気を取った保存瓶に入れ、上からオリーブオイル(分量外)を表面を覆うように加えます。冷蔵で2週間保存可能です。
【ポイント】
オリーブオイルを表面にかけるのは、表面が空気に触れないようにすることで保存性を高めるため。使っているうちにソースと混ざっていきますが、気にせず使って大丈夫です。
脇さんが選んだ器は…
いちょうの木のまな板 輪っか 小
(woodpecker)
油分をたっぷり含み水はけのいい、いちょうの木を使ったまな板。「有機的なかたちが可愛いですよね。まな板だけれど、料理を盛ってもいいと思います。厚みがあるから、食卓で存在感が出て料理が映えますね」
大きめにまとめミートボールを「トマトソース」で煮込んだボリュームのある一品。
野菜の甘さに肉の旨味が合わさって、よりまろやかなで深みのある味わいに仕上がります。
「トマトソース」にタマネギが入っているので、ミートボールには入れません。
合い挽き肉とイタリアンパセリを用意すれば、後の材料は家にあるものばかり。
思い立ったらさっとつくれる手軽さもうれしいおかずです。
材料(2人分)
- 「トマトソース」…250g
- 合い挽き肉…300g
- パン粉…30g
- 牛乳…大さじ3
- 塩…小さじ1/2
- こしょう…少々
- 卵…1/2個
- イタリアンパセリ(みじん切り)…大さじ2杯
- ニンニク(すりおろし)…1/2片分
- 小麦粉…適量
- サラダ油…小さじ1
- 水…1/2カップ
- イタリアンパセリ…適量
(A)
つくり方
1. ボールに合い挽き肉と(A)を入れ、手を使ってよく混ぜ合わせます。6等分にして、手から手に打ちつけるようにして空気を抜きながら丸めます。
2. 1の周りに小麦粉を薄くまぶし、深めのフライパン(または鍋)にサラダ油を熱し、並べて入れます。全体に焼き色がつくように、中火で転がしながら焼きます。
【ポイント】
小麦粉をまぶすことでソースが馴染みやすくなります。
3. トマトソースと水1/2カップを加え、煮立ったら蓋をして弱めの中火にし、約15分煮ます。途中で上下を返します。
4. 器に盛り、パセリの葉を散らします。
脇さんが選んだ器は…
dishes プレート 200
pistachio green/sand beige
(イイホシユミコ×木村硝子店)
「とことん丈夫で、使い勝手がよくて、用途が広い器を」と、木村硝子店と磁器作家イイホシユミコさんがつくり上げたプレート。サイズと色の展開が豊富。「ミートボール3個がきれいに収まる『200』は、料理を食べるときにナイフとフォークも入って小さすぎない、好きなサイズ感です。春らしい色合いの2色を選びました」
「トマトソース」を上にかけるのではなく、卵に混ぜ込む、一風変わったオムレツです。
フランスとスペインにまたがるバスク地方ではポピュラーな食べ方なのだとか。
バスクでは、上に生ハムをのせるスタイルが一般的ですが、
今回はほんのり苦味のあるルッコラをアクセントに。
マンネリ化しがちな卵料理のレパートリーにぜひ加えてみてください。
材料(2人分)
- 「トマトソース」…200g
- 卵…4個
- 塩・こしょう…各少々
- ルッコラ…適量
- オリーブオイル…大さじ2
つくり方
1. ボールに卵を溶きほぐし、塩、こしょうを加え混ぜます。ルッコラは食べやすい長さに切ります。
2. 「トマトソース」は、ラップをして電子レンジで約1分半加熱し、軽くあたためておきます。
3.フライパンに半量のオリーブオイルを入れて強めの中火にかけます。油があたたまったら、卵を流し入れ、シリコンヘラなどを使って大きく全体を混ぜます。卵が半熟になってきたら、「トマトソース」を加え、ざっと大きく混ぜます。
4.フライパンのヘリから残りのオリーブオイルを回し入れ、中火で卵を少し焼き固めます。
【ポイント】
オリーブオイルを二度に分けて入れることで、卵が最後まで焦げつかず、オリーブオイルの香りも生かせます。
5.フライパンから滑らせるように皿に移し、上にルッコラをのせます。
脇さんが選んだ器は…
しのぎ平皿 大 わら白 (宋艸窯)
縁の線模様のしのぎがアクセントになった平皿。「オムレツをフライパンから移すとき、お皿が平らな方がやりやすいんです。これは縁の立ち上がりもなく真っ平なのでぴったり。2人分のオムレツがきれいに収まるサイズですね」