冬の冷たい海で身が厚くなりふっくらと美味しくなったスルメイカが、
魚屋さんに並ぶ季節です。
肝も大きくなっているから、自家製の塩辛をつくるのに最適。
魚介は鮮度が命ですが、塩辛にしておけば、冷蔵保存で2週間は楽しめます。
そのまま食べてもごはんのおかずや酒の肴に。
料理に使っても味に深みを与える調味料にと大活躍。
塩麹を使うと、旨みと甘みが増してさらにアレンジしやすくなります。
「イカの塩麹塩辛」のつくり方を、料理研究家・濱田美里さんに教わりました。
身が厚くなり、食べ応え抜群のスルメイカ
日本で最もよく食べられているイカと言えば、スルメイカ。
身が柔らかく肝が大きいのが特徴です。
とくに冬、寒さがピークを迎える1〜2月のスルメイカは、
身が厚く肝も最大になるため、塩辛に最適です。
イカは鮮度が落ちると身が白濁していきます。
透明な部分と黒い部分の差がはっきりとしたものが新鮮。
また、体がぷっくりと張っているものほど肝が大きくなります。
教えていただいたのは…
料理研究家 濱田美里さん
国際中医薬膳師、国際中医師A級。大学在学中から、世界を旅しながらその土地の食べ物や料理を体感。日本各地も訪ね歩き、郷土の味を習得。昔ながらの料理や体を整える中医学の薬膳の知恵に、遊び心をプラスして、現代にあったレシピを制作・提案しています。紙媒体からテレビやラジオ、web、料理教室など、幅広く活躍。「塩フリージングで冷凍保存が変わる(別冊ESSE)」(扶桑社)など、著書多数。
オフィシャルサイトは、こちらから。
材料(つくりやすい分量)
- スルメイカ…1杯
- 塩…大さじ1
- 塩麹…イカの身と肝の重さの20%
- (塩分10%程度の市販のものを使用)
1.イカの裏側(目がない方)を上にし、袋の入り口に指を差し込み持ち上げるようにして開くと、胴体と内蔵がつながっている部分が剥がれます。
2.胴体を開きます。庖丁を入れるのは、点線の部分です。
3.点線部分が横にくるように倒し、内臓を傷つけないように注意しながら、庖丁を胴体の内側に差込み切り開いていきます。ぺティナイフくらいの小さめの庖丁を使うとやりやすくなります。
4.足を引っ張り上げるようにして胴体から内蔵とゲソを剥がし、胴体に残った軟骨も取り除きます。汚れが気になったら水洗いし、よく水気を拭いておきます。
5.肝に付いた細くて黒い墨袋を破かないようにつまみ上げ、矢印の方向に持ち上げるようにして取り除きます。
※墨は、服などにつくと落ちにくいため、袋が破けないよう慎重に行ってください。
6.肝の上の黒っぽい内臓部分を切り離します。
7.肝の下の目やゲソの部分を切り離します。今回は、ゲソ部分は使用しません(煮物やかき揚げなど、別の料理にお使いください)。
8.肝に大さじ1の塩をまぶし、10分程度冷蔵庫に入れて脱水します。
9.胴体の皮を剥きます。まず、胴体の下を2~3mmほど切り落とします。こうすると、最後までキレイに皮が向けます。
10.えんぺら(三角の部分)の下から指を入れ、ゆっくりと皮を剥がしていきます。皮と一緒にえんぺらが身から剥がれます。今回は、えんぺらも使用しません(別の料理にお使いください)。
【ポイント】
厚めのキッチンペーパーか晒を絞ったもので皮を引くと、滑らず作業しやすくなります。
11.身を細切りにする方向を決めます。イカは、胴体と水平方向(矢印の向き)に繊維があるので、繊維に垂直に細切りにすると食感がやわらかくなり、繊維に沿って細切りにすると歯ごたえが楽しめます。
12.細切りにする前に、長さを揃えるため5mm幅に切り分けます。今回は、歯ごたえが残るよう繊維に沿って細切りにしたいため、切り分けるときは、点線のように繊維に垂直になるように切っていきます。
【ポイント】
食感をやわらかくしたいときは、11の矢印の方向に5mm幅にします。
13.身を細切りにします。今回は、繊維に沿って細切りにし、イカの歯ごたえを残しています。
14.8で塩をまぶして脱水しておいた肝を分量外の酒で洗い流し、キッチンペーパーで水気を拭き取ったら、中を搾り出します。
15.肝には繊維があるので、ざっと裏ごしします。
16.肝と身の重さをそれぞれ測り、足した重さの20%の分量の塩麹を肝に混ぜます。
塩麹は、市販の塩分10%程度のものを使用。
例)イカの身200g、肝40gなら、
塩麹は48gです。
(200g+40g)×0.2=48g
17.15に身を加えてよく和えたら、清潔な保存容器へ。すぐにでも食べられますが、1日後からが食べ頃です。
※冷蔵で2週間保存可能ですが、保存方法などにより保存期間が短くなる場合があります。生臭く感じるようになったら、火を入れたアレンジ料理に。
【ポイント】
器に盛り付けた後、お好みで柚子の皮の擦り下ろしたものを散らすと、さらに風味がよくなります。
濱田さんが選んだ器は…
足付酒盃 ひらき 渕錆(JICON・磁今)
やわらかいマットな白色と、ふわりと開いたかたちが特徴的な「足付酒盃」。「酒器ですが、お酒を飲むのに限らず、おつまみを入れるのにも丁度いいサイズ。足が付いていることで、セッティングしたときに高さが出て、見栄えがします。地味に見える塩辛を特別な一品に格上げしてくれると思います」