ひとつひとつ違う木目や木肌の様子、あたたかな手触り、
木や竹素材の器や道具は、植物ならではの心地よさがあります。
さらに、熱伝導率が低いことで、器にしたときに熱いものを入れても持ちやすいなど、
実用面の使い勝手のよさもうれしいところ。
サクラ、ブナ、カエデ、ヒノキ、ナラ、真竹、篠竹、孟宗竹……などなど、
木や竹の種類は多種多様。
ただ、暮らしの中で使う器や道具になったとき、
その扱い方を左右するのは、補強の目的で施される表面の塗装です。
代表的な塗装方法である、
オイルやミツロウを塗る「オイル・ミツロウ仕上げ」、
樹脂でコーティングする「ウレタン塗装」、
ガラス質を主成分とした塗料を染み込ませる「ガラス塗装」、
そして太古の昔から行われてきた漆の木の樹液を塗る「漆塗り」、
それに、塗装をしていない「無塗装」の5つについて、
使い方やお手入れ方法をご紹介します。
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無塗装
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表面に何も塗装を施していない、白木の状態のもの。
木の持つ本来の性質を活かしたいものや、
火を使う調理や固いものが当たるなど
塗装が剥がれやすい使い方をするものは、無塗装になります。
例えば、木の調湿作用を活かしてお米を美味しくする、
おひつやまげわっぱのお弁当箱。
木のやわらかさを活かして刃こぼれや手への衝撃を和らげる、まな板。
そして、加熱調理に使うせいろや調理ベラなどのキッチンツールも、無塗装です。
また、もともと耐水性のある竹製のざるやかごなども、無塗装のものが多くあります。
乾いた状態だと、染み込みやすい性質があるため、使用する前に水でしめらせたり、
油をうすく塗ると汚れがつきにくくなります。
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オイル・ミツロウ仕上げ
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オイルやミツロウを塗ることで木の乾燥を防ぎ反りや狂いを出にくくしたり、
汚れの染み込みを防ぐのが「オイル・ミツロウ仕上げ」。
使われるオイルにクルミ油やエゴマ油などが多いのは、
塗ったあとに乾きが早い「乾性油」と呼ばれる油だから。
しっとりした色合いに落ち着き、
木目がくっきりするのがオイル仕上げの特徴です。
一方、ミツロウの場合は、無塗装に近いさらっとした仕上がりになります。
油分で保護するというのは同じですが、オイルは木に染み込ませる、
ミツロウは表面をコーティングするという違いがあります。
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ウレタン塗装
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口に入れても安心な樹脂でコーティングするのが「ウレタン塗装」。
給食で使われる食器などでもお馴染みの塗装方法です。
表面からの染み込みが防げるため、耐水性があり、
中性洗剤なども使えるなど、お手入れが簡単なのが特徴です。
ただ、毎日使い続けることで塗装が薄くなったり、裂け目ができたりすると、
その効果は薄れてしまいます。
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ガラス塗装
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ガラス質を主成分とする液体状の塗料を木に染み込ませたもの。
木の呼吸を妨げないので、白木の風合いが残ります。
木を包んで保護するというより、木に深く浸透し、
汚れなどがつきにくくしたり、劣化を防ぐ効果があり、
中性洗剤などでお手入れができます。
表面をコーティングしていないので、剥げるということはありません。
多少食べ物による色の変化はありますが、
使いこむことで全体が自然と飴色になり、落ち着いていきます。
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漆塗り
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古くは縄文時代から使われてきたと言われる、
伝統的な塗料といえば「漆(うるし)」。
漆の木の樹液で木をコーティングすることで、耐水性が生まれ、
酸やアルカリにも強くなります。
さらに、木の保護という実用面だけでなく、
とろりとした独特な光沢による神々しい美しさも加わります。
お手入れが難しいイメージがありますが、中性洗剤も使用でき、
少しくらい水につけるのもへっちゃらです。
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においが気になるときは……
木や竹製品の場合、土物や金属素材のような、
一番はじめに使い始めるときに特別にやらなければならないことはありません。
ただ、木によって、あるいは塗装の方法によって、においが気になる場合があります。
においを押さえる方法は、塗装方法に合わせていくつかあります。-
<灰汁抜きをする>
無塗装
漆塗り
高い吸水性があることから、無塗装でおひつの素材として使われることの多いサワラの木。
ヒノキやヒバの仲間で、ヒノキなどに比べて香りは少ないものの、
使い始めは、若干香りがご飯に移ることがあります。
それが好きという人もいますが、気になる場合は、
「ご使用前の灰汁抜きをおすすめします(東屋)」とのこと。
「米の研ぎ汁で桶を満たして3時間ほど置き、水洗いして日陰でよく乾かします。
1回では足りない場合は、2~3回研ぎ汁取り替えて繰り返してください(東屋)」。
また、漆塗りのものも、かすかですが天然漆ならではの独特のにおいがあります。
「使っていくうちに徐々になくなっていきますが、気になる場合は、米の研ぎ汁に一晩つけて、ぬるま湯で洗ってください。 鷹の爪を半分に割ったものを器の内側に入れておくというのもひとつ。
通常お使いいただくよりも、早くにおいが抜けると思います(輪島キリモト)」。 -
<風通しのいい場所に数日置く>
ウレタン塗装
漆塗り
樹脂で木をコーティングする「ウレタン塗装」の場合、
しばらく箱などに入れたままだったものを使い始めると、においが気になる場合があります。
また、漆塗りのにおいが気になったときも同様に、
「風通しのいいところに数日間置いておくと自然にとれます
(薗部産業、高橋工芸、輪島キリモト)」。
また、「いきなり熱いご飯や汁物を入れず、最初にぬるま湯を入れ、2~3分してからこぼし、
ならしながら使い始めると、徐々ににおいは薄らいでいきます(薗部産業)」。
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毎回、使う前に表面を湿らせる
無塗装
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表面に塗装を施していない無塗装のものは、乾いた状態のまま使用すると
食材がこびりついたり、色やにおいが染み込みやすくなってしまいます。
そのため、まな板やしゃもじ、調理ベラなどは、
「毎回使用前に水で濡らして、水気を切ってからお使いください。
木の持つ油分と水により表面をコーティングし、食材の油分、
アクなどを染み込みにくくします(woodpecker、土佐龍、宮島工芸製作所)」。
おひつも、適度な湿り気を与えることで、ごはんのこびりつきを防ぐことになります。
ただし、木の材質によって、湿り気の与え方は変わります。
「杉の場合は、しっかり水分を含ませます。内側の表面をさっと水で濡らし、ふって水気を切るか、
乾いた布で軽く拭いてください(柴田慶信商店)」。
「サワラの場合は、よく絞った布巾で内側を拭く程度で大丈夫です(東屋)」。
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やってはいけない使い方
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<電子レンジでの使用>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
塗装の有無に関係なく、木や竹製品は電子レンジでは使えません。
木や竹は、素材の内側に水分や空気を含みます。電子レンジにかけてしまうと、
内部の空気があたためられて膨張し、割れやヒビの原因になってしまいます。
また、ウレタン塗装など表面をコーティングして固めてあるものなどは、
「塗装の割れや剥離の原因になることがあります(公長齋小菅、高橋工芸)」。
火災につながることもあり危険です。 -
<100度以上のものを注ぐ>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
熱いものをのせたり注いだりすると、急激な温度変化で変形したり、割れ、
ヒビ、傷みの原因になることがあります。
塗装がしてある場合は、塗装が割れたり、変色してしまうことがあります。
ウレタン塗装の場合、表面をウレタンでコーティングして固めた状態のため、
「木はあたためられて膨張し動くけれど、塗装は固まったままなので、
木の動きに塗装がついていけず塗装が割れてしまうことがあります(高橋工芸)」。
漆塗りの場合は、「急激な温度変化により、漆の表面が白く変色してしまうことがあります。
70~80度(人が飲める温度)のものを入れるようにしてください。
一度変色してしまうと、塗り直しをしない限り、元には戻りません。
冬場など、器が冷え切っているときは、ぬるま湯などで温めてから使用すると安心です。
(輪島キリモト)」。 -
<水分のついた鉄製のものをのせる>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ガラス塗装
木や竹が黒ずむ原因は、カビであることもありますが、
木や竹に含まれるタンニンが、水や食材に含まれる鉄と反応して黒くなることも原因のひとつ。
表面をコーティングしていない無塗装のものや、オイル・ミツロウ仕上げのもの、
ガラス塗装のものの場合、起こる可能性があります。
そのため、「水分のついた鉄製品はのせないようにしてください(cogu)」。
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洗う
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<中性洗剤はなるべく使用しない>
無塗装(木)
まな板、おひつ、曲げわっぱ、調理ベラなど、無塗装のものは染み込みやすいため、
「必要以上に洗剤を使わず、水とタワシでこすり洗いをおすすめします
(東屋、woodpecker、柴田慶信商店、宮島工芸製作所)」。
「油ものや生ものを切ったときなど、必要なときには、中性洗剤で洗い、よくすすいでください(woodpecker)」。
染み込んだ洗剤は、水で洗っていくうちに抜けてはいくと言いますが、
洗剤の残りや香りが気になる人は、「粉末のクレンザーを使い、木目に沿って水洗いします
(東屋、柴田慶信商店)」。
ヒノキやヒバ、サワラなど木の性質としてヤニが出るものはなおのこと、「ヤニを洗い流してしまうことになるので 中性洗剤は使用しません。粉末クレンザーの代わりに粗塩を使ってもいいでしょう(東屋)」。
「ヤニは、耐水性や耐酸性のもとで、黒ずみやカビを防ぐ大事な天然の樹脂です(東屋、土佐龍)」。 -
<中性洗剤を使用できるもの>
無塗装(竹)
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
無塗装でも竹製のものや、何らかの塗装がしてある場合は、あまり神経質にならずに
「中性洗剤も使用できます(東屋、大宮竹材工芸、喜八工房、公長齋小菅、ゴールドクラフト、cogu、薗部産業、高橋工芸、松野屋、輪島キリモト)」。
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洗わない
無塗装(せいろ)
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「薄くスライスした木を巻いてつくるせいろの場合、
重なった部分に水が入ると乾きにくく、カビの原因になるため、洗いません。
使用するときは、布巾やクッキングシート、皿をしき、
使用後は濡れ布巾で拭くだけにしてください(照宝)」。
そもそもせいろは、使用することで100度の蒸気にさらされることになり、
消毒になるため洗う必要がないと言います。
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やってはいけない洗い方
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<長時間水のつけおき>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
木や竹は、長時間水にさらしておくのは厳禁。
黒ずみやカビの発生や、過度の加湿による反りやヒビ割れの原因になります。
また、ウレタン塗装の場合、「水染みや塗膜の浮きなどの原因になることがあります
(ゴールドクラフト、高橋工芸)」。
一方、漆塗りの場合は、割れや欠け、ヒビが入っていない状態であれば
「ある程度水につけておいても問題はありません(輪島キリモト)」。 -
<食器洗浄機の使用>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
高温のお湯や強力な洗剤を使用する食器洗浄機は、変形や変色、
塗装のあるものは剥離の原因になるため使用できません。 -
<たわし、磨き粉の使用>
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
タワシやクレンザーなど研磨作用のあるものは、
表面の塗装が剥がれたり、傷の原因になってしまいます。
「洗う際は、やわらかい布やスポンジを使用し、洗剤は液体の中性洗剤を使用してください
(東屋、喜八、公長齋小菅、cogu、ゴールドクラフト、薗部産業、高橋工芸、輪島キリモト)」。 -
<固いものと一緒に洗う>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
「流しなどで陶器やガラスなど、木よりも固いものにぶつかると、
へこみやあて傷がつくことがありますので気をつけてください(薗部産業)。」
漆塗りの場合は、「固いものとは分けて洗ってください(輪島キリモト)」。
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きちんと乾かす
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
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水気が残ったままになってしまうと、黒ずみやカビの原因になってしまいます。
木や竹製品は、使用後洗ったら、きちんと乾かすことが重要です。
といっても、乾燥機や直射日光に当てるのはNG。
過度な乾燥は、反りや割れの原因になってしまいます。
自然乾燥で、しっかり乾かすためのコツはいくつかあります。
「乾燥を促すため、お湯ですすぐことも有効です(柴田慶信商店)」。
「まな板スタンドやフックなどを使って底を浮かすことで、
全面がしっかり乾きます(woodpecker)」。
「調理ベラのように細長いものは、縦置きで乾かすよりも平らになるよう横置きにして、
木の中で水が通る距離を短くすると早く乾きます。
その際、カゴなどに置くようにして、置いた面にも風が通るようにしてください(宮島工芸製作所)」。
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保管のポイント
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<湿気の少ないところにしまう>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
せっかく使用後しっかり乾かしても、湿気の多い場所に収納しては元も子もありません。
「ポリ袋など通気性の悪いものに入れたり、通気性の悪い場所にしまわないでください。
カビや歪みなどの原因になります(照宝)」。
食器棚などに収納する場合は、低いところほど湿気がこもります。
上の方に保管したり、扉を閉め切らず、ときどき換気をすることも必要です。 -
<直射日光、空調、火の側には置かない>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
直射日光を長い時間当てたり、空調が直接当たる場所での保管、
また火の側に置かないようにしてください。
過度な乾燥や加熱により、変形、変色の恐れがあります。
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乾燥してカサカサしてしまったら
オイル・ミツロウ仕上げ
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使用していくうちに、また中性洗剤などで洗うことによって木の油分が落ち、
木肌が白っぽくなったりカサカサすることがあります。
「木の表面が乾燥してきたら、クルミ油、エゴマ油などを布に含ませ拭いてください。
無塩のクルミを1粒、ネル地のような目の詰まった布に包んで、
金づちでよく叩いて油分を出します。
油が染み出るまで何度も叩いてつぶし、
布に染み出たクルミの油を直接木肌に塗って仕上げます(cogu)」。
クルミがない場合は、「普段食用でお使いになっている植物油を塗ってください。
クルミ油でなくとも、比較的香りの弱い大豆油、米油、グレープシード油なども適しています(東屋、高橋工芸)」。
また、木製のバターケースなどのように、油分のある食材を入れるのに使用する場合は、自然と油分の補給になります。
毎日使うことが最良のお手入れと言われています。
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毛羽立ち、ささくれ立ってしまったら
無塗装
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調理ベラのように金属の鍋やフライパンに当てて使うものはとくに、
「材質・部位によっては、毛羽立ちが多く発生する場合があります。
使用しているうちに徐々に落ち着いていきますが、気になる場合は、
製品を水で濡らしながら、200番程度の耐水ペーパーで研磨した後に、
さらに400番程度の耐水ペーパーで研磨してください。
1~2回程度研磨することで、毛羽立ちが気にならない程度に落ち着きます
(宮島工芸製作所)」。
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塗膜が剥げてきてしまったら
ウレタン塗装
漆塗り
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木の表面をコーティングして固めるウレタンや漆を塗ったものの場合、
塗膜が欠けたり、ヒビが入ったり、磨耗することがあります。
「漆は丈夫と言いますが、落としたりぶつけたり、
何らかの衝撃によりヒビが入ったり、欠けたりします。
その場合、すぐに使用を控え、ご相談ください。
状況にもよりますが、修理が可能です(輪島キリモト)」。
ウレタン塗装の場合、「塗膜が剥がれると、
その部分から水分や食品の汁気などが染み込みやすくなります。
塗装が剥げたまま使い続けると、さらに傷んでいきます(喜八)」。
「使い続けず、ご相談ください。修理が可能な場合もあります(ゴールドクラフト、高橋工芸)」。
ただ、修理代の方が商品代金より高くなってしまうこともあります。
とはいえお気に入りでどうしても使い続けたい場合は、
「洗って使う用途以外なら使い続けても構いません(喜八)」。
また、「剥がれて木の素地が出ている部分にオリーブオイルなどをしみこませ、別の用途にお使いください(薗部産業)」。
使い続けることで塗装は薄くなり、剥がれやすくなるもの。
ある程度消耗品ともいえるかもしれません。
「毎日使うお椀などは、3~5年でどうしてもウレタンが剥がれていくため、
そのタイミングで新しいものに交換することをおすすめします(薗部産業)」。
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黒ずみ・カビが発生してしまったら
しっかり乾かさなかったり、汚れがついたまましまってしまうと黒ずみやカビが発生してしまうことがあります。
繊維に入り込んでしまうと、対処しようがない場合もあり、
木や竹製品は黒ずんだりカビたししないよう使い方に気をつけることが大前提。
とはいえ、うっかりということも……。
そもそも、「黒ずみ」と「カビ」は、イコールではありませんが、
黒ずみの原因のひとつがカビでもあり、対処方法は同じになります。
ちなみに、黒ずみの中には、木の成分と食材の成分が反応したり、
水などに含まれる鉄分と反応したことによる変色も含まれます。
その場合、使い続けても問題はないのですが、カビとの区別は難しく、
これから紹介する対処法に沿って除去することをおすすめします。
場合によっては、使用することをあきらめざるを得ない場合もあります。-
<洗い落とす>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
「表面に付いているような初期の段階であれば、洗うことで落とせます
(woodpecker、大宮竹材工芸、ゴールドクラフト、柴田慶信商店、松野屋、輪島キリモト)」。 -
<ブラシで落とす>
無塗装(せいろ)
「表面に出たカビは、完全に乾かしてブラシをかけると落ちます。
黒ずんでしまったものは、本人が気にしなければ使い続けて大丈夫です(照宝)」。 -
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<削る>
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
さっと洗った程度で落ちない場合、無塗装のものであれば自分で削るという方法も。
「木の浅い部分までの場合、市販の紙ヤスリで削って落ちることもあります。
乾いた状態で新しい目を出すように削ります
(woodpecker、柴田慶信商店、宮島工芸製作所)」。
紙ヤスリで削って落ちない場合は、除去が難しいレベルです。
ただ、ものによってはメーカーでの対応を受け付けているところもありますので、相談を。
「まな板の場合、鉋で削ったほうが平らにキレイに仕上がります(woodpecker)。」
「程度にもよりますが、変色部やカビた部分を削ります(cogu)」。
「板の張替えをおすすめします(柴田慶信商店)」。
また、塗装のものは紙ヤスリをすると塗膜が剥がれてしまうことに。
こちらもメーカーに相談を。
「ウレタン塗装は、基本的に黒ずみやカビは発生しませんが、塗膜が傷んでいるところから水が入り、
黒ずみやカビの原因になることは考えられます。
その場合、サンドペーパーで研磨すれば削りとれることもありますが、深部まで黒ずんでいる場合は落ちません。
いずれにしても、再塗装すれば使用できます(喜八)」。
一方、「塗装がはがれた部分に黒ずみやカビが発生した場合は、
使用の限度と考えて、新しくされることをおすすめします(公長齋小菅、薗部産業)」というところも。
「洗剤とスポンジで洗っても跡が残っている場合、漆塗りは塗り直し、
ガラス塗装のものは表面を磨いて削ります(輪島キリモト)」。
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反りやゆがみが生じてしまったら
無塗装
オイル・ミツロウ仕上げ
ウレタン塗装
ガラス塗装
漆塗り
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木は反るもの。
そのため、各メーカーとも製品をつくる前の段階で、じっくり木を乾燥させ、
木目なども考慮し、 反りや狂いが出ないよう細心の注意を払っています。
とはいえ、過度の乾燥や過度の加湿など、
使用状況によって反りや狂いが生じてしまう可能性はあります。
「過度に乾燥した場合は、適度に湿気を与え、
過度に湿気を含んだ場合は、適度に乾燥させるしかないのですが、
必ずしも元の形状に戻るとも限りません(東屋)」。
残念ながら、基本的に「一度ゆがんだものは元に戻すのが困難です(喜八、cogu)」。
黒ずみやカビ同様、使用方法や保管方法を適切に保ち、反りやゆがみを起こさないよう気をつけることが大切です。
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虫が発生してしまったら
無塗装(竹)
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竹は糖分を含んでいるため、まれに虫が発生することがあります。
竹製品に白い粉が付いている場合、要注意。
竹の中に虫が潜んでいる可能性が高いため、
粉を発見したらほったらかしてはいけません。
「熱処理で虫を退治します。熱湯の中に5~6分つけます。
カゴバッグなど大きくてつけるのが難しい場合は、熱湯を直接かけます
(大宮竹材工芸、松野屋)」。
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<器や台所道具によく使われる木・竹の種類一覧>
- 翌檜(アスナロ)
- ヒノキと並び、爽やかな香りが特徴的。水に強く抗菌作用のある成分を含むため、
建築や橋梁などの材料をはじめ、水周りの道具に使われています。 - 板屋(イタヤ)
- 楓(カエデ)の一種。黄色味を帯びた白っぽい木肌で、硬いのが特徴。
「縮み」という並みのような光沢模様や、「バーズアイ」と呼ばれる模様が出ることがあります。 - 銀杏(イチョウ)
- 「銀杏」と書いて「イチョウ」。実のことを指すときは「ギンナン」と読みます。
油分を含み水はけがよく、柔らかくて弾力がある特性から、まな板に利用されます。 - 樫(カシ)
- 木に堅いと書く「樫」は、堅くて粘りがあり耐久性の高い木材。
「虎班(とらふ)」と呼ばれる、虎の縞模様のように見える木目が特徴です。
- 栗(クリ)
- 堅くて粘りがあり、耐水性もある木材です。木肌は黄味がかった乳白色。
- 胡桃(クルミ)
- 西洋の家具などに使われるのは「ウォールナット」。
日本のクルミは、紫がかったスモーキーな深い茶色をしており、
木目がさざ波のように細かく広がっているのが特徴です。
- 欅(ケヤキ)
- 堅く、強い性質から、日本で古くから重用され、
行事の際お供え物を捧げるための道具や器として使われてきました。
- 黒檀(コクタン)
- 美しい漆黒で、家具や仏具、建具、工芸品などに好まれる木材。
成長に時間がかかるため希少となっています。
- 桜(サクラ)
- 日本を代表する木材。木肌はきめが細かく、やや赤みがかった褐色。
狂いが少ないため、建材から家具、器など幅広く使われています。
- 椹(サワラ)
- ヒノキ科ですが、ヒノキに比べ香りが少ないのが特徴。
日本では木曽や飛騨地方に多く生育し、「木曽五木」のひとつにも指定されています。
- 山椒(サンショウ)
- 独特の香りが特徴。硬く磨耗しにくいことと、解毒作用があると言われていることから、
昔から擂粉木の材として使われています。
- 科(シナ)
- 表面が滑らかで曲げに強く、軽いのが特徴。
加工しやすく、合板の材量や、鉛筆、マッチ棒の軸などにも使われています。
- 篠竹(シノタケ)
- 小ぶりで細く、群生して生育する竹。地域によって「鈴竹(スズタケ)」とも呼ばています。
- 栓(セン)
- 日本では、北海道が主な生育地。軽くて柔らかいため加工がしやすく、
木目がはっきりしているのが特徴です。
- 鉄刀木(タガヤサン)
- 紫がかった黒色で、硬く粘りのある木材。耐久性、保存性が高いのが特徴です。
仏具や、箸などの小物に使われています。
- 楢(ナラ)
- ドングリのなる木。裂けにくくて硬いのが特徴。海外では「オーク」と呼ばれ、家具材として、
また、ウィスキーなどの醸造樽の材料として使われています。
- 水目(ミズメ)
- 樹皮がサクラに似ているけれど、ツンとする香りがあるのがミズメ。
木の中心部(心材)が紅褐色、周り(辺材)が黄白色と、同じ木の中で色に変化があります。
- 檜(ヒノキ)
- 日本固有の樹木で、強度、耐水性に富み、抗菌作用のある成分を含むことから、
古くからまな板や風呂桶など水周りの道具から、神社仏閣の建材まで幅広く重用されています。
- 橅(ブナ)
- 白い木肌が特徴的。曲げに強いことから、家具や玩具などに使われています。
- 朴(ホオ)
- 刀の鞘に使われるなど、乾燥後の狂いが少ないところが特徴。灰色がかった色味も独特です。
削りやすいため、装飾性のある工芸品などにも使われます。
- 真竹(マダケ)
- 高さ10~20m、直径5~15cmほどの竹。
かごやざるなど、竹製品や竹細工に多く使われ、青々とした色も特徴的。
- 孟宗竹(モウソウチク)
- 高さ10~20m、直径20cmほどにもなる、大型の竹。
身の厚みもあるため、身を削りだしてつくるカトラリーやキッチンツールなどに利用されています。
<木・竹用語集>
- 白木
- 皮をはぎ、削っただけで塗装をしていない木のこと。
- 天然木
- 「人間の手を加えずに自然に生育した木」や、
「張り合わせるなどの加工をしていない木」など、複数の意味があります。
- プライウッド
- 「合板(ごうはん)」。薄く剥いだ木を木目の向きを交互に重ね合わせ、圧力によって成形したもの。
強度が増し、反りやゆがみが生じにくくなります。