名前に「秋」の文字が入る「秋刀魚(サンマ)」は、秋の味覚の代表的な魚。
9~10月には、ぐんと値段も下がってお買い得になります。
「塩焼き」が定番ですが、毎日ではさすがに飽きてしまうし、
一番美味しいこの時期の秋刀魚をできるだけ長く味わいたい……。
料理家・中川たまさんに、「秋刀魚のオイル漬け」を教えていただきました。
脂たっぷりでもヘルシーな旬の秋刀魚
もっとも脂がのる9~10月が、秋刀魚の旬。
サバやアジと並んで、血液をサラサラにしたり、
悪玉コレステロールを下げる成分を含んでいる青魚です。
そのため、脂分は多めでも健康にいいと言われています。
下顎の先端が黄色いものほど鮮度がいいとされ、
鮮度が落ちてくると茶色に変化していきます。
脂がのっているものほど日持ちせず傷みやすいので、
保存食にするのがおすすめです。
教えていただいたのは…
料理家 中川たまさん
ケータリングユニット「にぎにぎ」から料理に関わる仕事をスタート。
2008年に独立し、季節の野菜や果物など、旬の食材を活かしたレシピを書籍や雑誌にて提案。保存食や発酵食など、季節の手仕事に関するレシピ発信やイベントも開催。 著書に『季節を慈しむ保存食と暮らし方 暦の手仕事』(日本文芸社)など。
材料(つくりやすい分量)
- 秋刀魚…2匹
- 塩…小さじ2/3
- エクストラヴァージンオリーブオイル…適量
- 白ワイン…大さじ4
- 白ワインビネガー…小さじ2
- ローリエ…2枚
- ニンニクのスライス…1片分
- イタリアンパセリ…3~4本
- 鷹の爪のスライス…4~5切れ
- ごま油…大さじ2
- 米油またはサラダ油…適量
- 料理酒…大さじ2
- 米酢…小さじ2
- 生姜のスライス…2片分
- 長ネギの青い部分…適量
- 鷹の爪のスライス…4~5切れ
◎洋風
(A)
(B)
◎和風
(A)
(B)
※「洋風」の材料でつくり方をご紹介します。「和風」は、材料を替えるだけで手順は同じです。
1.秋刀魚を3枚におろします。
2.おろした身は2等分し、バットに並べて両面に塩小さじ2/3をふり、15分置きます。
【ポイント】
塩は、下味をつけるだけでなく、秋刀魚から余分な水分を出し、味を染み込みやすく、日持ちもしやすくする意味もあるので、保存食づくりには欠かせない調味料。 好みもありますが、程よい塩加減にするには粗めの塩がおすすめ。細かいと塩の効きがきつめになります。
3.キッチンペーパーなどで軽く水気を取ります。
4.バットに並べて、(A)を注いでヒタヒタにします。途中裏返して、30分置きます。
【ポイント】
酒と酢でマリネすることで、秋刀魚の臭みをとります。
5.直火で使えるバットに薄く油をひき、秋刀魚の水気をキッチンペーパーなどで軽く押さえてから並べます。
【ポイント】
下に薄く油をしくことで、秋刀魚がくっつきにくくします。
6.秋刀魚が隠れる程度にエキストラバージンオリーブオイルを注ぎます。
【ポイント】
「和風」の場合は、米油やサラダ油などに、ごま油を香りづけとして少量加えます。香りがいいからとごま油だけを使用するとくどくなってしまうので、ベースはクセのない油に。
7.(B)をのせます。
【ポイント】
「洋風」「和風」ともに、臭みをとる効果のあるものを香り付けとして加えます。好きなものを入れてOKですが、あまりクセのあるものを入れると、その後のアレンジがしにくくなるので、なるべくシンプルに。
8.極弱火で、約10分オイル煮にします。極弱火は、油が沸々しないくらいが目安です。
【ポイント】
弱火でゆっくり煮る方が秋刀魚が柔らかく仕上がります。また、強火にすると油が酸化しやすくなるということもあります。
8.秋刀魚の色が変わり、中まで火が通れば完成。
※左が「和風」、右が「洋風」の完成形です。
【ポイント】
保存性を高めるため、中まで火を入れることは必要ですが、秋刀魚の身が固くなってしまうので、火を通しすぎないようにします。
中川さんが選んだ器は…
レクタングル浅型(野田琺瑯)
「ほうろうのものは、いろいろなタイプを活用しています。下拵え、調理、保存となんにでも使えて、一度使い始めるとその便利さにリピートしてしまいますね。今回は、秋刀魚を重ねずに並べたかったので、バットのようなかたちのレクタングル浅型に。火にかけてオイル煮にしたら、冷ましてフタをして、そのまま保存容器として使えるので、手間いらずです」と中川さん。今回は、Sサイズを使用。つくる量に合わせてサイズはお選びください。